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燧灘競翔連合会
八重子はすかさず、
「いえ、じゅんさんから貰う訳にはいかん。私のサービスじゃきん」
すると沢木は間髪を入れず、
「いかん、いかん。よおちゃん、八重ちゃんはもうプロの経営者じゃ。ある程度価格設定して、料理の原価を弾いて値段も想定せにゃ・・例えば、この入りじゃったら増築もせにゃなるまいが?」
沢木は、既にそんな事を考えながら喋っているのだ。八重子はくすっと笑い、
「じゅんさんは、何もかもお見通しなんじゃわね・・ふふ・正直言うて、今の定食は殆ど儲けになってません。私もプロの料理人として素材を選びますきん、どうしても仕入れが高うつきます。ほんでも、平日来てくれる職場の皆さんに、負担をさせたらいけません。なかなか、その点が難しいんです。じゅんさん、素直にお聞きします。ご助言下さい」
沢木は嬉しそうな顔になる。当然そんなアイデア等泉のように湧き出る男だからだ。
しかし、善さんがその前に言う。
「はは・・奥さん。ほれじゃったらええ会社ありますわ、のう?・・沢木」
沢木が笑う。




