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燧灘競翔連合会
放鳩車が出て行き、初めて燧灘競翔連合会としての合同訓練は、あちこちに輪を作り、にぎやかな声で満ちて居た。沢木の周囲は黒だかり、山部も松本も同じだった。
とりを中心にして、又ヤマチューを中心にして、若い連中の輪が出来ていた。
そのとりの所に、先程の三鍋、イクちゃん、加地、藤川、受川が集まり話をしている。
「へえ・・妻鳥さんちゃ、川滝系を使翔しとんのかいね」
中予連合会だった、受川が言う。受川は身長182センチもある大きな体で、加地=かいちと同じバレーボールをやっていた男である。競翔を始めて3年目だ。
「おう、あっちに居るヤマチューも川滝系を使翔しとんよ。同じ血統でも系統はちょっと違うきんどの」
加地が言う。
「あいつ(ヤマチュー)は、秋には、川滝系は居らん。春に使翔するきんな。ヤマチューが川滝さんとこから貰うたんは現役の選手鳩やきん、作使翔者が川滝さんで、その後山下使翔ちゅう事じゃわい」




