沢木リフォーム会社
誰もが彼を敬遠する。その図体もあるが、彼の過去にも起因する。他の客とは違い、美咲におべんちゃらを言う訳でも無い。ただ、酒をかっくらっては帰る浜田に、美咲は興味も無かった事だが、ある夜、若い地回りのやくざがやって来て、しつこい位に美咲にちょっかいを出した。浜田は、嫌がっている美咲からその地回りのやくざの腕を掴み、外に放り出したのである。あわやの場面になり、そこの組長が現れ、浜田を見ながら、
「無茶すな、浜田・・若いもんは血気盛んな時じゃきんの・・」
そう言って浜田の肩を叩き、若い地回りと帰って行った。
浜田は、何事も無かったように又座って酒を飲み出したが、美咲は、これ以降浜田と急速に親しくなって行く・・沢木の言葉は、あの時の浜田の気迫と同じだ。
「お願いします・・私・・やって見るきん・・・いえ、お願いします」
沢木は、にこっと笑った。そして、
「美咲さん、頑張れや。絶対その気になりゃ覚えれる。50過ぎた浜やんじゃって、今から最先端の4色機を覚えないかんのじゃきんの、夫唱婦随、1つの事を二人で一緒にやれるんじゃ、こなん幸せな事ないぞな。な?」
「はい、そうですね」
美咲もにこりとする。




