89/3046
由香里と勇次
「うわ・・」
妻鳥が眉を顰めた。松本が笑う。
「はは・・鎌足さんは、武道の達人じゃ。勿論寸止めするつもりで木刀を振ったんよ、ほんなら・・」
今度は川滝が笑う。
「ほんなら、この沢木だっきゃ、微動だにせんと鳩舎をまだ凝視しとる。わはは・・流石の鎌足さんも、いよいよ呆れての、沢木に言うたんじゃ」
「何て?」
妻鳥が眼を輝かせて聞いた。
「わしゃあ、剣道、空手、プロレスラー、力士、あらゆる豪傑と今まで対峙して来たきんど、沢木よ、お前は又違う意味でおとろしい豪傑じゃわ・・。これが真剣じゃって見い、真っ二つで脳天が裂かれとったとこじゃと。」
「わははは」
3人がそこで笑った。




