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由香里と勇次
「まあ、お前を責めとる訳や無いきんどじゃの、確かにベテラン競翔家だろうが、わしもそななん簡単には見分けがつくまいちゅう前提でもの言うたんよ。そやきんど、由香里ちゃんはずばり当てた。その沢木は、何でわしのとこに夜風系が居るんぞ、それに何で鎌足さんが拒絶した筈の勢山系の血が入った鳩が居るんぞと、一目で見破ったんじゃ。これが当時天才競翔家と言われた、沢木ちゅう男の事じゃ」
「へえっ!」
妻鳥が眼を見張ると、川滝が、
「面白い話がある。何が楽しいんか、鎌足さんとこの鳩舎に、自分とこの鳩に餌やった後、朝から晩までしがみついて夜風系を休みの日にゃ、一日中眺めよるんよ、沢木が。鎌足さんは、沢木見たいな、いなげな奴(変わった者)見た事無い、帰れちゅうて何遍も言うが、まるで人の言葉も聞こえんように、一点を見つめよる。益々気味悪がって、ほんで、鎌足さんは、ある時、家から木刀を持ち出して来て、沢木の背後から、脳天目掛けて振り被ったんじゃ」




