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沢木リフォーム会社
そこに若い夫婦と一匹の犬、老人が縁台に座って、丁度茶を飲んで居た。
「こんにちは」
沢木より早く、ヤマチューが車から降りて3人に挨拶する。沢木と善さんも車から降りて3人の所へ。
「今日は、建築会社は来とらへんのですか」
沢木が聞くと、藍川富士夫と言う30代半ばの息子は、妻明菜と共に立ち上がり、
「ええ、今日は資材の搬入が遅れると言う事と、少し水道設備や土木の工事の方との打ち合わせがあると言う話でしたので」
善さんが、腰は多少曲がっているが、父親である圭吾朗に話しかけた。年は69歳、善さんと殆ど同じで、背丈こそ無いが、若い頃は鉱山で働いたり、林業で生計を立てていたのだと、話している。しかし、腰を患い、今はどうにもならないと、少し顔を歪めながら話す。同じ年位とは言え、善さんより遙かに老けたように見える。善さんが、
「その椅子、ちょっと辛そうやな、ちょっとええか?沢木」




