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沢木リフォーム会社
「成る程・・楽しみやの」
善さんが、少し嬉しそうな表情になった。こう言う実践的な現場を見る為に、彼は四国にやって来た。
車は相当厳しく狭い山道を、左右に激しく揺らせながら進んだ。移動工具店と称する沢木の箱バンも、工具が落ちないかと思える道だった。
「凄い道やの・・ははは」
善さんが笑った。
「何年か前の台風でずたずたに林道がなって、これでも大分復旧した言う話ですわ。いずれ、もうちょっと整備する計画はあるきんど、何ちゅうても民家が一軒だけですきんね、これは、ちょっと政治家でも動かさん事には進む話では無いですわ。ははは」
「ほ・・沢木、お前・・何か企んでへんか?」
善さんが、少しにやっとすると、沢木もにやっと返した。
ようやく、到着したのは、緩い傾斜と雑木が茂る、当に奥山の地と言うにふさわしい民家であった。




