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師匠と共に

 近くには、石積みの全国的にも珍しい豊年と言うアーチ型ダムがある。その山間の狭い道を更に上って行くと、頂上付近で車は止った。平地になったその場所には、建築中の建物がある。瀬戸内海が眼下に開け、非常に景色の良い所だった。沢木は、


「ええとこじゃろ?ここは」

「ええですね、景色も抜群じゃきん」

「近々、愛媛県側に道が繋がる。川之江市「*現四国中央市」の金生町に抜けるんよ。交通も便利になるわ。それを見越して、ここに山荘を今建築中なんじゃわ」

「へえ・・」


 建坪からしたら80坪はあるだろうか、和洋折衷した奇抜な建物に、ヤマチューもきょろきょろする。

*町村合併で、四国中央市になった。


「ここ、実はの、わしの事務所にするつもりやきん」

「えっ!沢木さんとこですか!」


 ヤマチューは驚いた。


「今東予市にあるんは、仮の事務所。2年後にはこっちに移転して、ちょっと商売も色々変えようかと思いよる。何で、ヤマチュー君をここへ連れて来たか言うたらの」

「え・・はい・・」

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