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師匠と共に

 信一郎を育てたのも、新川家具なのである。その心の伝承は、しっかりと後継する者に伝わって行く・・。

 こうして一夜は終った。

 沢木は、懇意である木工所に、善さんの仕事環境をまず整えた。職人の腕を休ませてはならないと言う配慮からである。

 1ヵ月後に沢木の元に来る善さんの為に、自宅にも環境を整えた。心良く和子も迎え入れる。それは、夫がこの道に骨を埋める事を宣言したのと同じと、受け取った。

  心から尊敬し、自分と言うものに気付かせてくれた恩人。和子は、それが嬉しくて堪らなかった。それは、生き方は不器用かも知れないが、人を裏切らず、自分を甘やかさず、一切の手抜きをしない。その姿勢こそが、夫の今を支えている。そして、家族を支えて来たのだと言う事を、和子も分かっているからだった。

 沢木には、競翔の事もある。善さんには伝えてある。善さんは笑った。


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