師匠と共に
「おう、そうや。可愛いで、孫は。新川社長にも世話して貰うて、吹田の山の方やけど、一軒屋で庭もある。」
「ほな・・何で?善さん・・遊びと違うんじゃな?そのしばらくっちゅうんは」
「・・正直言うわ。わしは、未だ体が動く。この年になるまで外見てへん、実際外のもん見て自分なりに創作ちゅうんをして見たいのや、長年の夢やった。自宅にも小さいけど工房もある」
沢木は、即座に
「その願い・・引き受けた。善さん、ほうよ・・人間動ける間は動いたらえんじゃわ。ボケる年でも無いんやきん、けど善さん。長い間ほんまにお疲れさん。多くの事学ばせて貰うたし、わしは人生の師匠やと思うとるきんね・・。善さんの夢今からでも間に合う、わしは、喜んで協力させて貰いますきん」
「おう、頼んますわ、沢木」
善さんと、沢木ががっしり握手をした。この申し出は、先に沢木が、なんでも屋をやろうかと突然言い出した事にも共通するのであるが、善さんの滞在で、それは当分先延ばしになったのだった。
新川が、ぽつんと息子であるHZK専務取締役信一郎に言う。
「のう、わしも羽崎会長の引退と同時に辞職の覚悟はあったけど、善さんには済まん事になったわの、本来なら、新川家具の役員としてまだまだ残って欲しかったんや・・」




