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師匠と共に

 善さんはにこっと笑う。


「ほや。その通り。けどな、わしもその男の気概を受け、一世一代の屋台にしたるわ思うて、粗末な材料の中にも、自分の技量全てを込めたつもりや。出来あがった家具見て、新川社長は大笑いされたわ、はは」

「した、した。わはは。なんちゅう粗末な材料使うねや言うて笑うた。余りもんの端材ばっかりや、けど、わしには、どこにも負けん屋台やと思うたわ。善さんが、この新川家具の屋台骨を背負うてくれると確信した日やった」

「何となく・・分かりましたわ。ほんで、そのラーメン屋の本店には、今もその当時の屋台置いてるんやね?わし、意味が分からんかったです。善さんは、ボロを着てても心は錦っちゅう気持ちで、屋台を作ったんやね?」

「わははあ!修二、若いのに、古い歌の文句知っとるがな、わははは・・」


 大いに盛り上がったこの夜の集まり。それはそれは大きな意味を持っていたのである。そして、その2年と言う月日で、自分を追い込んだ沢木の決意は、そこに実は繋がるのであった。

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