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師匠と共に

 沢木は、*修二に何かを伝える為に、敢えて質問したように思えた新川だった。

*修二の青春 隻眼の竜


「あの屋台はの、言うたら店を構える為の、デモンストレーションよ。今や、関西の雄じゃ言うて、市内に30店舗以上を抱えるラーメン店になっとる。わしはな、確かに最初はお前の言う通り、檜の剥白木で屋台を作ろうと思うた。そやけど、実際使用するんは、商店街のアーケード下の一角や無い。それも、オフィスビル街やったんや」

「あ・・成る程。ほれで、剥白木を変更して合板にしたんじゃね?素材を大事にする善さんが、合板やか使うとは思わなんだきん・・ははあ・・」


 沢木は、その言葉で何かを感じたようだった。

 修二が意外そうな顔で、


「あの・・俺には、未だちょっと分からんのやけど・・」


 新川がにやにや笑っている。善さんの真意が見えないと言う修二。分かったと言う沢木、実は、それこそ職人の職人たる正中心なのである。

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