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師匠と共に
善さんが答えると、沢木は
「ほれ・・聞かせてくださいや。そこが、一味も二味も善さんが、日本一じゃとわしは思うとりますきんど、家具職人として、他のもんと違う所やと思うとります。修二君、よう聞いとってや、もう善さんは常時側には居ってくれんのやきん」
「はい」
修二の腕は、既に善さんに続く、新川家具工場内でも、高い評価をこの時は受けていたのだった。修二も既に結婚。一男一女に恵まれていた。嘗ての野犬と言われた面影はどこにも無く、夜間大学も卒業し、善さん引退後は、新川家具店の柱となるべき男である。




