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師匠と共に
沢木が勧める酒に、ほろ酔い気分になり、日頃必要な事以外しゃべらぬ善さんが
「やっぱり、四国へ来て良かったわ。沢木の心配りが痛い程分かった、おおきに、おおきに」
善さんの潤む眼を見ながら、沢木も溢れる涙を隠そうとしない。修二も、おんおんと泣いている。
新川が、
「おいおい。そなん泣くな。わしまで泣けてくるわい、ぱっといこ、ぱっといこ」
新川も泣いていた。信一郎が、
「沢木さん、わしもイギリスで勉強して戻んて来て、沢木さんはもう新川家具に居られなんだけど、何遍もうちの家具の仕入やら、インテリアの組み合せの妙と申しますか、達観されて居られる幅広い知識とデザインには、勉強させて頂いております」




