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白城(びゃくじょう)
「へ・・何言うとるんで・・兄やん。えらい年取って丸うなったな、ははは」
「まあ、ちょっと鳩でも見て行けや、の?」
西条がそう言うと、
「ええ機会じゃ。秋の子どななかの、見せて貰おわい」
沢木も興味深そうに、頷いた。沢木も認める四国を代表する血統だ。その練り上げて来た確かなものは、既に西条系と呼ぶレベルにある。
見る途端に沢木は2羽を指差した。
「ほっほう・・やっぱり兄やんとこは次から次とええ鳩出しよるのう・・これは、マリンバ号とは横の系統かい?」
「分かるんか・・そなん事まで。何ちゃ隠せんのう、お前には・・ほうよ。お前の持論で無いきんど、羽幌目指そ思うたら、ある程度スピードのある鳩で無かったらいかん。こっちは、その為に改良して来た系統じゃ」
「兄やん、やっぱり視点が違うわ、流石じゃの」
沢木は2羽を触診すると、満足そうな顔で帰って行った。




