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白城(びゃくじょう)
そこ・ここで、活発な動きもあり、新規一転がらっと血統を変えた鳩舎も多く、計り知れない沢木が動いた影響はある。
そんな中で泰然自若として動かないのは、西条と、松本鳩舎であった。
珍しく西条が沢木の事務所に来て、和やかな談笑をしていた。
「はは・・とうとう、兄やんとこも、店の模様替えすんかいな」
「まあの、時代は変わりよる。腕だけではこれから先飯食うていけんきんの、ちょっとショーウィンドウも変えて、明るい感じにしたいんじゃわ。じゅん、ちょびっと知恵貸せや」
「はは・・HZKにリフォーム任せてくれるんか?兄やん」
「勿論じゃ。お前を外す事出来るかいや」
「有難うな、ほな、扱い品と、並べるもんやら、メーカーの意向もあるじゃろきん、聞いとくわ」
西条の所は自動車修理工場。その腕は高く評価されており、結構繁盛もしている。しかし、いかんせん、長年の営業による家屋の痛みと、周囲に散乱する部品取りの廃車が眼につき、若い者が敬遠しつつある。修理と共に、新車も販売しているものの、その売上が伸びない現状であった。




