817/3046
白城(びゃくじょう)
浜田の動き・・と、言ってもこの男には人を陥れようとか、姑息な事を考えるような考えは全く無い。 それは、沢木のその真剣な生き様に、少し心が揺らいだ事で止まった。浜田の件は・・。人の世は複雑怪奇、無限の思惑や、欲望が支配する所に、数々の諸問題を引き起こす。全ては玉虫色に黒白をつけない所に、又社会と言うものも出来あがっている。
村本の所に、工藤がやって来た。先日まで同じ研究会でやって来た仲間。工藤は、
「ええ鳩入ったらしいな、村ちゃん」
素っ気無く、村本は、何時もこんな調子ではあるが、
「別に・・なんぼ銘鳩だろうが、子が飛んでなんぼやきんの」
「まあ、そう言うても、あの佐野鳩舎の佐野エース号じゃろ?凄いわや」
工藤の言葉は、虚飾も何も無い。全くその通りだろう・・反応は。
村本は返事をしなかった。




