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白城(びゃくじょう)
「ええ目標あるや無いかい。順延の話も尤もじゃ。そやきんど、企みっちゃなんぞ?」
「お前は、復帰するなり、又昔言よった稚内GNレース当日帰りの夢を語り出した。ほの為にの、どなな結果を産んだか、胸に手当ててよう思い出して見いや」
浜田が又かっと眼を開いて睨みつけた。
沢木の表情が曇った・・。
「・・すずらん号の事言よんか・・ほれとも、浜やんの太郎号の事言よんか・・」
沢木の眼も光った。笑いは消えている。
「敢えて言うなら、太郎号じゃ。お前の馬鹿げた夢に振り回わされ、結果的にあなな事故に遭うた。お前じゃって辛かったんは知っとる。あれは、事故じゃ。そやきんど、お前は現実的に自分の使翔法が、稚内GNレースへの道と力説しとった。わし等はそれに乗ってしもうた。ほうや無かったら、わしは、太郎号をあの700キロレースには出さなんだんじゃ」
「わしは・・確かに若かった。恐いもんも無かったかも知れん、あの当時・・。浜やんそれがお前のトラウマになっとたんじゃとしたら、謝るしか無いわ・・この通り・・そやきんど・・そやきんど、一言だけ聞いてくれ!頼む!」




