白城(びゃくじょう)
悪鬼の形相になり、眼を剥く浜田。
しかし、沢木は彼の眼を見ながら、微動だにせず再び言う。喧嘩を買うようにものを言ったのは沢木の方だった。
浜田の顔は見る見る真っ赤になり、今にも飛びかからん位のようだ。洋司が、
「ちょ・・止めてつか、喧嘩せんでつか、浜田さん、じゅんさん」
「まあ、聞く耳持たんじゃろきんど、浜やん、ちょっとだけわしの話聞け。それからでもええ、50も過ぎて大人げ無いきんど、喧嘩買うたる。そやきんど、わしは昔見たいに殴り合いの喧嘩やもうせんわ。わしは、何も手出さんし、殴られたる。ほやきんど、一発手出したら傷害罪ぞ?浜やん、ほんでもええか?」
凄い言葉であった。幸いこの時客は居なかった。浜田はどすんと椅子に座り、沢木を睨んだ。
「くそ・・昔っからじゃ。お前とは全く合わんわい。ほな、言うて見いや、一応は聞いたるわ、わしも大人になったきんの」
洋司が、テーブルまで戻って来る。本当に殴り合いになると困ると思ったからだ。この平和で和気藹々だった東予連合会で何故?それも、同じく昔から仲間でやって来た二人だろうに・・はらはらしながら洋司は見守った。




