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由香里と勇次
大道は、サッカー部の花形エースストライカーで、当時大変人気があった男だ。今は高校を卒業して、家業である造園業を手伝っているとかで、当時と変わらぬ日焼けした黒い顔だった。
そして、彼は、当時陸上部だった由香里に好意を寄せていた事がある・ここで・2人に沈黙が続く。
ぼつぼつ、会員達が集まって来た。
「あ!由香里ちゃん、もう来とったんか」
ター君と呼ぶ事になった石川がにこにこして近寄ると、ヒデ君と呼ぶ大道が少し離れた。
ヤマチューも、かーおいちゃんも、とりさんも。もう、すっかり皆の人気者になって、由香里は色んな鳩を触らせて貰っていた。
そんな中で、由香里が一羽の鳩を手にした時、
「あ・・この子(鳩)早ううちへ帰りたいってゆうて泣いとるわ」
近くに居たヤマチュー、ヒデ君が眼を丸くした。




