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車椅子の少女
まさか・・勘で当てようと言うのか・・松本は思った。競翔鳩に関する知識や経験があっても、困難な、血統を見極め、それを当てよ等と言ういかに自分が無謀な要望をこの少女に対して求めているのか、自覚もしているが・・。あてずっぽうの確率は25パーセント。8羽の中の一羽でも当てられたら、上出来だろう・・松本は思ったが、しかし、それでは駄目だ。再度自分に言い聞かせていた。一人の老競翔家が命を賭けて守り育てて来た血統、情にかられて、それを託された責任を曖昧にしてはならない。
しかし、由香里は目を開けてこう言った。
「おっちゃん、分かった」
「・・ほうか、ゆうて見い・・」
当てずっぽうの勘が、どこまでなのか、松本は、少々がっかりしたような気持ちを持ちながら、由香里にそう言った。
「この子と・・この子」