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白城(びゃくじょう)

「分かったろが・・沢木さんは、自分が思うようなレースしか多分参加させん。鳩を使翔すんや無しに、育てる事に主眼を置いた、全く別の競翔をすんじゃわ。全ては稚内GNレース当日帰舎させる為の、ステップに過ぎん事じゃ。夜風系は確かに素晴らしい血統じゃ、そやきんど、稚内GNレースに、当日戻んて来れるようなスピードは、無いと思う。ほうじゃのに沢木さんは2年だけ競翔に復帰すると宣言しとる。それは、育てる目的で飼う以外に無いんよ。いや・・わしもな、沢木さんとは関わりとう無いわ、実際のとこ。浜田さん始め、敵意を剥き出しにしとる動きもあるしな。わしははっきり言うて、敵とか味方とかそなな考えは無いきんど、四国ではっきり証明されるど、数年の内には、日本競翔界を代表するのはどこの血統か言うてな。全部、沢木さんが仕掛けて、壮大な計画に皆知らずの内に乗っとる。じゃきん、沢木さんの一点以外は、本命は今言うた鳩舎じゃい。工藤、秋山競翔研究会ちゅうんは、細かい分析をするとこじゃ、わしは、わし流儀でやるきん、お前はどななんじゃ?中途半端にやりたいんじゃったら、この会から抜けてくれや」


 少し工藤の顔が強張った。全ては確かに金持ちのボンボンで、他人任せで努力もして来なかった。秋山の強い言葉に、反論する事も出来ない自分に、はっと思ったのだった。


「わし・・やる。わしも、もうちょっと鳩の勉強するわ。少無うても、佐野系を導入してちょっと距離を開けかけた村本には負けとう無い」


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