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白城(びゃくじょう)
「そら・・そうやきんど・・あの香月博士でさえ認めとる天才競翔家の沢木さんに、ええかげんな鳩は託さまいが?実際の所。ほれは、常識的な見方じゃきん」
それに対し秋山は、少し嘆息気味に
「あんな、工藤。常識的な考えせんきん、天才、鬼才言われるんじゃい。沢木さんの競翔成績っちゃ、普通で無いわ」
「・・そやきん、凄いんじゃろがい」
少し回りくどい秋山の言い方に、ぶすっとした表情で工藤が答えると、
「まあ、見てみい。わしがノートに纏めたきん」
秋山が工藤のノートを差し出した。すると・・
「ええっ!これが沢木さんの全成績かいな・・うへ・・」
工藤が声を発する。
「何ちゅうか・・規格外じゃろが? そやっていきなり300キロレースに出した思うたら、その年はそのレースのみ。3羽参加させて2位に入っとる。その時の優勝鳩が、鎌足さんの黒灰号じゃ」
「あの・・代表種鳩の1羽かいな・・確か1200キロ余市で総合優勝しとるわな黒灰号は」
「ほうや」




