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白城(びゃくじょう)

「そやきん、全てに違わい。チヌの眼から見てどこに餌を持って行ったら食う、今どっち向いて魚が泳ぎよるか、全部頭の中に入っとんやもんなあ。知らんもんが見たら魔法使いじゃわ。ほやきん、殆ど知らん、ほなな場所でか?ちゅうて、でかいの釣っても、漁協で買うて魚拓取ったん違うか言うて、馬鹿げな話が出て来るんぞね、それ言うたんどこのアホやったか忘れたきんど・・・わはは。そななんもんは、もはや釣り人と違うど。今も嬉しげにそいつは雑誌に出とるきんどの。考えがそも卑しいわい、人間の性根と言うてもええ、ははは」

「ふ・・言わしとったらええ。それで腹立てたら、同じ穴の狢ちゅう事になるきんの、わしらも」


 洋司と元木が笑う。釣りも鳩も全ての生き様も、まるでスケールが違うのだから、凡夫の考えで量る事等出来はしないのだ。

 そして、連合会の中でも、やはり秋山の動きは活発だった。既に白川系の視察も終え、各鳩舎への調査、選手鳩の陣容も把握していた。工藤に、


「やっぱり旭さんとこええわ・・小谷系・・これは間違い無う来る」

「短距離系のシフトして、今は日本でもトップクラスじゃきんね、それはそうじゃろうねえ」


 工藤も答える。


「佐々木鳩舎・・ここは秋には殆ど主力は居らんきんの、まあ、大丈夫。川滝さんとこの鳩は、2年過ぎてからじゃあ」

「ほうよなあ・・今まで単体の連合会だけだったきん上位に通用しとっても、中予連合会も加わるきんね、白川系も居るし」

「そうそう・・これは本命に見とってもええじゃろ」

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