787/3046
白城(びゃくじょう)
沢木の所には、ひっきり無しに競翔家が訪れる。洋司の喫茶店も、今や競翔家達の連絡場だった。釣り仲間でもある元木が言う。
「洋司君。わしはどだい、論外の競翔家じゃきんど、じゅんさんは、どなな世界に居ってもど偉い人じゃなあ」
「はは、もとやん、怪物じゃ。あの人はスーパーマンじゃきん」
「誠・・」
元木も笑った。どうやら、沢木が解散した黒鯛釣り倶楽部の後を継いだチームも、余りの遊魚船との強引な磯渡しに、各所からクレームが続出し、とうとう解散に到ったとの事。
洋司が
「結局自分が、自分達だけがええ思いをすりゃええんじゃ、見たいな考えでは、長い事は続かんわな、見えとったわ。そやって、大きいの釣りたい、数釣りたい。ほなん事だれでも思うし、人が釣ったの見て喜ぶアホも居らんわの。釣りに技は要るで、そやきんど所詮運じゃろがい、大きいを釣るんは」
「はは・・そやきんど、じゅんさんは違うで、狙って釣る人やきんなあ」
元木が言う。




