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白城(びゃくじょう)
その時、少し洋司に目配せしたヤマチューだった。洋司は、ヤマチューも、由香里に関しての何かを知っていると、この時悟った。しかし、自分がそれを言う訳にはいかない事だった。
「痛い!痛いがな!放せこら、何すんじゃ!」
ヒデ君が怒鳴るが、ヤマチューは、これまで見せた事の無い凄まじい形相になって、
「黙っとれ、ヒデ。ええきん、わめくなこら」
ヤマチューは、近くの公園までヒデ君を引っ張って行き、やっとそこで腕を放した。
激昂したヒデ君は、ヤマチューに殴りかかった。しかし、ヤマチューは、強烈なパンチを一発ヒデ君に叩き込み、倒れ込んだヒデ君の胸倉を掴む。
「こら・・落ち着いて話聞かんかい、ヒデ。やるんじゃったら、何時でも喧嘩なら買うたる。そやきんど、わしは喧嘩するつもりでここ引っ張って来たん違う。済まんかったの、ちょっと強引やったきん、それは謝る」
「・・聞きますわ・・」
少しヒデ君は、冷静になろうと、自分で深呼吸しながら立ちあがった。強烈なパンチを受けて少しふらふらとしている。




