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白城(びゃくじょう)

 既に沢木は、片岡工務店社長とは話済み。HZKに沢木有り・・四国の片田舎にあっても、その全く手を抜かない仕事振りと、常に最高の物を顧客の求めに応じ提供する。それは、来春新川家具店社長を引退し、その仕事振りから「正味の鬼」と呼ばれ、一切家具製作に妥協をしなかった新川の姿勢を受け継いだものだった。故に新川から、新川家具を任せられるのは、「沢木、お前だけじゃ」と懇願されたのである。

 木田は、総身が痺れるような沢木の言葉を、やっとここで飲み込めた。やがて、新HZKを支えるであろう若き営業の軸として、彼はその言葉をこの先忘れる事は無かった。

 沢木の影響は競翔界だけには留まらない。それは、現実の生き様を、周囲に伝える事が自分の使命と、沢木は任じているからだ。新川の提唱で、木田が中国・四国地方に担当になった意図がここにあった。沢木は充分にそれを聞かずとも理解していた。当に阿吽の呼吸と言うべきか、人を育てるとはこう言う事だろう。

 さて・・連合会の若手連中に話が戻る。

 それぞれに、秋に向けての調整・訓練が始まっていた。

 その中で、ヤマチューと加藤が、合同で放鳩訓練を初めて行なったのだった。

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