閃きの中で・・

白城（びゃくじょう）

　益々木田は興奮し、席を立とうする、これは全て沢木の術中だったのだ。

「はは、若い、若いのう、木田君は。まあ、ええ。いずれわしの言うとる事も理解出来るじゃろ・・あんな、余計なお世話じゃと思うかも知れんが、この突貫工事やっとる片岡工務店ちゅうんは、全国で支店を持ってレストラン、喫茶店の工事を請け負うとるとこよ。たまたまそこの社長がこっちに来とったきん、わしの仕事振り見て、HZKが気に入ったわ言うてくれた。今なら社長も居る。折角四国まで来たんじゃ、挨拶して行けや・・」

「え・・」

　木田が、呆気に取られて硬直する姿に沢木は、

「木田君は骨がある、気に入った。ほんでもの、商売っちゅうのは直球勝負ではいかんきんの？今言うた事守れば、脈があるかも知れんぞ、片岡工務店と」

「は・・はい！沢木さん、ご教授有難う御座いましたあ！」

　木田は表情を一変させると、嬉々として事務所を後にして行った