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白城(びゃくじょう)
「どう言う意味ですか、それ」
「あんの、今木田君は、自分の思う事ばっかり言うて顧客が何を求めて居るんか、全く聞かんかったじゃろ?」
「え・・?はあ、でも自社の製品をアピールして、出来るだけ簡潔に、短時間で伝えるのは、これは営業マンにとって必須条件だと思いますが?何で沢木さんは、私にそんな指摘をされるのか理解に苦しみますね」
「そう、それそれ。木田君は、HZKでも昨年営業成績№1じゃ言うて表彰を受けたらしいの」
「あ、まあ・・」
「今言う、短時間に簡潔に自社製品をアピールするちゅうんは、流石にトップセールスマンじゃ、実に淀みも無うて、自社製品の勉強もしとる。何を一番にアピールしたいんかも良う分かったわ」
「・・じゃ・・何で?」
少し表情を緩めはしたが、沢木の言葉が気に入らない木田であった。
「わしがの、今受けた新製品、売れ筋や無うて、昔のカタログにあるこの商品を欲しいちゅうたら木田君はどうする?殆どデザインも質も変わらんし、今の方がお得ですし単価も押さえられますので、まとめて買われた方が良いですよと、力説するじゃろ?どうじゃ?」




