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白城(びゃくじょう)

 現実の世界に戻って少し加えるが、国は法律で守られ、それを遵守する所から秩序を保っている、しかし、その実は役場での縄張り意識、我田引水しか考えぬ国会議員。自分の政党の票を伸ばす事しか考えぬ政党及び支持団体、又思想論に固まる論者・・国家的とは大きな中で、当然ながら国民全体の秩序と幸福を考えるのが第一義、しかしそれは夢想なのである。民主主義の精神とは、半数以上の賛成でその秩序を決めてしまう所にある。それは、弱者、小数意見を切り捨てると言った矛盾を抱えている。法は、必ずしも弱者に対して正義にはならないと言うこれも矛盾。S工大は、そう言った国家としての矛盾を、これから解決して行こうと言う特殊機関なのである。転院に狼狽した砂原が現実社会の実態であろう・・。

 こうして、当に特別待遇となった由香里の治療であるが、全ては香月、沢木の出会いが実現したやはり特別な手術だった。そして沢木環と言う理学療法士の優秀さを認めた磯川も、来県した最大の目的は、これからの医療をどう見据えて行くか、彼なりに導き出したある計画。やはりそこにも、S工大の教授を自病院に迎え入れた先見性が、隠されているのである。

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