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白城(びゃくじょう)
「津島師長さん、うるさかったですね、砂原先生」
「ぷ・・」
表情を変えない筈の津島が、噴出しそうな顔に。
「あは」
そんな津島の顔は初めて見るわと言うように、環も一瞬顔を綻ばせ、病室の受け入れ態勢は整った。特別室に、リハビリ用の必要な全ての機材が運ばれて、突貫工事をした様子が伺える。三観総合病院も、これは特別な受け入れ態勢をしている様子。それだけ、S工大と言う機関が特殊であり、大きな権限を有している事が分かる。全ての治療費は国から出るだろうし、この費用も三観総合病院は負担等をして居ない筈。どんなプロジェクトが待ち受けて居るのであろうか。砂原が欲しかったのは、実はこの後のリハビリメニューなのである。その重要な部分を、他県の、公的病院には違い無いが、学閥の違う所に取られるのが悔しいのだ。しかし、それは、三観総合病院の医師達が否定した。
「・・と言う訳で、このプロジェクトは、岡山大学とは全く関係がありません。又、我々も殆どノータッチなのですよ、砂原博士」




