白城(びゃくじょう)
まるで、三観総合病院等に任せて居られるか、どうせ悪化させて、こちらに又戻って来るに違い無い・・そんな言葉に聞こえた。大学病院って言うのは何時もこうだ・・しかし、津島の立場では答える術も無い。頭では思っていても言葉には出せない。上から砂原は命令口調に、それからも道中に細かい指示を出し続けて居た。洋司は逆に思った。由香里がこれまで治療してくれた先生だし、無碍にも言えないが、ここに環ちゃんが居たなら、何がしかの反論はしているだろうなと思った。
大学病院と言うのは、研究機関だと思っている者にとって、由香里はこれ以上の無いクランケ。そのクランケを失う惜しさに悔しがっているのだ。やはり転院が正解じゃろうし、由香里が全幅の信頼を寄せている環ちゃんが、今度は妻八重子に代わって側に居るし、この余り表情は変わらないが、信頼出来そうな師長さんにお任せしたいと・・。
少々うんざりとした顔で、三観総合病院に戻って来た津島。そこから又待遇が別で、数名の医師が囲う形で非常の進入口から通り、シャットアウトした非常用のエレベーターにベットで運ばれる由香里。待ち受けていたのは、環だった。やっとそこで津島と、環が一緒になり、同行していた砂原は、数名の医師と共に、別室に行った。
やっと、由香里が・・




