白城(びゃくじょう)
大学が用意した、特別の医療車に乗り込み、佐々木夫妻と、由香里、砂原准教授、津島が同行する。VIP並みの待遇である。一体この娘さんにはどんな秘密が・・津島の頭の中では色々な推理が浮かぶものの、言葉には勿論出せない。そんな津島に、洋司が、
「よろしくお願いします、津島師長さん、何か特別の待遇受けとる見たいで、自分達も恐縮しとんですわ」
その言葉に、津島の顔が少し緩んだ。
「患者さんには、一般も特別もありません。私達はベストを尽すだけですから」
少し、むっとした表情になる砂原だったが、黙っているまま。由香里が、
「うちね、環姉ちゃんと一緒にリハビリやりたいって・・手術の前から約束してたんです。ほんだら、香月博士が聞き入れてくれて・・」
成る程・・津島は少し納得した。何故一理学療法師である沢木にそんな指名が出たのか、この佐々木由香里に関する間柄の事情か・・と。納得顔をしていない砂原が、
「良いですか?佐々木さん、治療は誠にこれまで順調でした。しかし、今からはどうなるのか分かりませんよ。少しでも不安があれば、必ず私に連絡して下さいね。すぐ又転院の手続きをしますから」




