白城(びゃくじょう)
洋司が、この日は喫茶店を休み、愛媛大学に。
担当であった、准教授砂原が、三観総合病院の津島師長にリハビリメニューを手渡した。
津島師長は、愛媛大学までこの日派遣されていたのであった。
表情を余り多く出さない、鉄仮面の師長と、患者から揶揄される事もある。そして、言う事はズバッと言う。特にどちらかと言えば、組織の人間にはなじめないタイプである環を良く叱ったのが、この津島であった。
砂原が津島に、
「これは、S工大より指示を受けて、これまで行って来た治療と、リハビリです。手術の成否は半々だと言われて居ましたが、佐々木由香里さんの手術は、成功したと言えますとの、京西博士の言葉です」
その言葉に、流石に鉄仮面の津島も眼をくりっとさせた。何と、S工大の、それも世界的外科医である京西が執刀した?更に砂原は、
「当大学では、今後もS工大より手術の謁見許可を頂き、数例の立会いを行いますが、今回三観総合病院への転院は、私も驚きを隠せません。果たしてこのリハビリが、失礼ですが、設備の整わない貴病院で可能かどうか・・しかし、これもS工大の香月博士よりの依頼ですので」




