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白城(びゃくじょう)
「実は・・私は山の神よ」
「あ・・ああっはっはは。こりゃやられた。参った、参ったですわ」
沢木は、大声で笑った。何と言うウィットにとんだ女性であろうか、爽やかな気持ちがそのまま沢木に伝わったからだった。
「ふふ・・子供のように笑うのね。凄く良いわ、そのお顔。貴方は、少年のような心を持たれた正直な方ね。どこまでも澄みきっているわ。この空のように」
「わしね、人相学、手相も分かるんです。けど、今まで出会うた事の無い女性ですわ。重ねて言いますが」
「まあ、お上手な口説き方。ふふふ。じゃあ、私も、もう少し言わせて頂くわ。あの鳩・・どうして飛ぼうとしないのか」
「え・・?」
沢木は、少し驚いたように、女性を見つめる。
「私は、貴方にとって信じられない事かも知れないけど、霊が見えます。動物の心も見えるんです」
「やっぱり・・」
沢木が答えると、
「やっぱり・・?」
今度は女性の方が少し驚き、沢木を見つめた。




