白城(びゃくじょう)
事務の係長として、長年勤務している母、和子。それは、和子にも相当きつい風当たりがあり、その事で、白川総師長の所に来た事は容易に推測出来るが・・しかし、和子はこう言った。
「総師長、これには、多分私も知り得る情報があると思うんじゃけど、それは、口が避けても言えません。ほんでね、私が言いたいんは、環が指名されたんはむしろ光栄に思うんです。けど、総師長さん、何で津島さんから、環を指名した形に発表するようなそう言った配慮をしてくれんかったんですか、これでは、山辺さんも、岩瀬さんも動揺するし、病院内に禍根を残します」
「あ・・・」
白川総師長は、自分の言葉が足りなかった事に対して、和子に謝り、再び津島を呼び、そしてこう言った。
「津島さん、私の言葉が足りませんでした。沢木さんは、貴女がプロジェクトチームに指名したと言う事にして下さい」
津島は、黙って頭を下げた。こうやって、組織と言うのは動くのである。白川総師長は即座に自分の思慮不足に気付き、助言を受け入れ、この件に対応したのである。又、津島の対応も非常に良かった。
「え!沢木さんを直々に指名したんは、津島さんだったん?ほれで何遍も総師長さんとこに?」
「うわ・・沢木さん、お気の毒ぅ・・」




