75/3046
由香里と勇次
妻鳥が何か言い出しそうになったが、口をもごもごさせている。その様子に眉間に少し皺を寄せながら松本が顔を見つめる。
由香里が先に聞いた。
「あの・・妻鳥さんって・・言われるんですよね?」
「え・・そうじゃ、妻鳥です。よろしく」
「クス・・」
由香里が笑う。
「さっき、同じように紹介されましたきん・・」
松本も笑う。
「ほんまに、こいつは・・何時もべらべら喋りよんのに、何じゃ、若い娘が側に居ったら、話も出来んのかい、そやきん25歳になっても、彼女一人も出来んのじゃい」
松本にとっては、自分の可愛い弟子。息子を叱るようにそう言うと、川滝も、
「ほほう・・さてはべっぴんさんの由香里ちゃんを見て、意識しとるんか?妻鳥よ」
「い・・いやじゃあ、川滝さんちゃ、からこうたらあかんよ」




