白城(びゃくじょう)
「持続力・・ですか?」
「11時間連続で飛翔する、なんちゅう事は、例えばフルマラソンの60キロを走るんと一緒じゃ。42.195キロを走るべくペースを配分しながら、体力と相談し、走るランナーが、自分の体力の限界を超えて、そのペースを継続しようと走っても、そのスピードで60キロは恐らく無理じゃろうと思うんですわ。何故か?何故紫竜号が、稚内GNレースに当日戻り得るか・・全ては、そこに込められた競翔ちゅうもんの原理があるとわしは思う。原理とは何か?それは、わし等が、もがいて、もがいてこれから見出して行かないかん先の話ですわ。浦部君、君はこれ以上に無い律儀で、真っ直ぐな競翔家じゃ、それは川上さんに相通じる純粋なもんじゃ。だからこそ、香月博士は、暁号系を託したんじゃと思う。ほんで、俵さん、年齢もわしと余り変わらんきんどね、貴方は正直でほんまに真っ直ぐな人じゃ。同じく暁号系統を守り育ててくれる人やきんこそ、貴方も香月博士が託されたんじゃと思う。清治君は、まさしく天性のその才能、能力で、清竜号と言う鳩を使翔しとる。これも天命じゃとしたら、他に清竜号にはこれから役目があるんかも知れんな。超長距離を飛翔するべく産まれた鳩は、自ずとその能力に目覚めて突き進むじゃろう。清竜号は来春稚内GNレース参加じゃな?当日戻って来れるべき才能を十分に持っとる。わしは、そう思う」
「あの・・」




