白城(びゃくじょう)
しばらくして、清治が・・
「この鳩・・全く先が読めません・・ですが、清竜号は明らかに見えます。未来が・・」
沢木が3人に向い、こう言った。
「鳩・・ちゅうか、人間もあらゆる森羅万象も、一瞬先の運命はどなん転ぶか分からん。天命ちゅうんがもしあるとしたら、生を受けたるものは、運命の中、決められたそこに流れて行くだけの事。わし等、そなん先が見える人生があるんじゃとしたら、なんぞくそ面白う無いわと、自分の命を絶ってしまうやも知れん。人間以外の動物に、自分の命を勝手に絶つもんは居らんのやきんね。又、その生の行く末を考えるものやか、これも人間以外に居らんのですわ。そこから先は一瞬の闇じゃあ・・。清竜号は、はっきり言うたら、2000キロ、3,000キロ戻って来るそれだけの超距離鳩。これぞ、香月暁号系の真骨頂なり。それに比べて、閃竜号、或いは香月初霜号系は、一瞬で消えさるような脆い面がある。それは何か・・1400キロに限定された距離を飛び帰る能力を求められとるんですわ。この血統では、2000キロ、3000キロは難しい・・と言うか、飛翔を止めるじゃろうと思う。何故か・・それは持続力に尽きる」
浦部が聞く。




