白城(びゃくじょう)
「ほう・・これが清竜号かいな・・凄い鳩じゃあ・・この鳩の眼の奥には、蒼く澄んだ空が見える。無限の可能性を秘めとる・・清治君、有難うな。わしは、この鳩を見させて貰うたお陰で、閃竜号の訓練法にヒントを掴めたような気がする。この鳩なら稚内GN当日帰りも可能かも知れん。そやきんど、12時間の時間枠には入らんじゃろうきんどな・・」
「ええっ!じゅ・・12時間ですって!」
浦部、俵が声を上げると、沢木が
「天候に左右されるんが、競翔ちゅうもんですわ。そやきん、どなな悪条件下に遭遇するかも知れん、その時1400キロを10時間で飛翔出来るような鳩で無いと、12時間のタイム内には入らん。翌日も含めたらギリギリ分速2000メートルじゃ。翌日じゃと、わしの言う目標には届かん。この鳩は、紫竜号にあらず、清竜号として名を残す鳩には違いは無い。素晴らしい鳩じゃ。こなな鳩は得られんわ」
「あの・・失礼を重々承知の上で質問致します。先に、この清竜号は稚内GNレースに当日戻れる鳩だと仰いました。素晴らしい鳩であると。しかし、それでも届かぬと言われる・・」
政春が聞くと、沢木が、
「清治君、わしんとこの閃竜号を見てくれや。清竜号とどう違うか、君の思うたままの意見を聞かせてくれ」
「はい・・」




