由香里と勇次
「近頃は、便利になったもんじゃ、さっき、由香里ちゃんを見よったら、車の運転も自分で出来よるし、自分一人でちゃんとやれるちゅうて感心しとった。ほんじゃきんどの、何で又競翔ちゅうもんをやる気になったんか、教えてくれんか?今日も皆の年を聞きながら紹介したきんどの、殆ど大半の者は、小学生頃に鳩飼いよった連中じゃ、50歳前後、それ以上の年の者が圧倒的に多いんじゃ・・何を意味するか・・それは、競翔ちゅうんは、もう若者には身近なもんじゃ無いちゅう時代やきん・・」
由香里は、以前松本に話した通り、川滝に説明した。若い娘が、競翔をやる・・それも身体にハンディを背負いながら、どうしてそんなものに興味を抱いたのか・・それが川滝には疑問だったのだ。由香里は松本に聞かれた疑問と同じだと思い、自分の考えを伝えたのだった。
川滝は大きく頷いた。
「そうか・・そう言う気持ちで入会したんじゃな・・よう分かった。香月博士と松本君が間接的であれ、鎌足さん言う、地元の競翔家と縁があっての事じゃ。わし等長老にとっても、由香里ちゃんは、孫同然。何時でも相談してくれの、ええの」
「有難う御座います」




