白城(びゃくじょう)
「ですよね?しかし、初霜号系統は、シューマン系の血が濃く残る、早熟のスピードを有する血統です。確かに、四国と私達の住む地域を数値的に見ても、稚内GNレースは1300キロと、1400キロ。100キロ差でしかありませんが、その差は数字の100キロでは勿論無くて、数百キロに相当するでしょう。それだけ過酷な環境と難しさがある地です。その地にあってですよ、我々でさえ、稚内GNレースを翌日戻らせる事を考えるのがやっとの所、沢木さんは30年も前から当日戻らせる血統を目指したと言うのです。この大胆で、夢の又夢のような事を考えられてる方なんですよ」
「ちょ・・ちょっと待ってくださいよ。浦部さん・・それは、現実的では無いでしょう。そんな分速なんて、世界記録に匹敵します。まして、この日本で・・」
政春が眼を丸くした。
「そのまさかを考えられる方なんです、沢木さんと言われる競翔家さんは。そして、佐野さんも納得されたと言うのですよ、信じられないでしょう?」
「あの、物事を冷静に分析出来る方が認められた?・・しかし・・信じれないです・・」
「当然です、そのしかしは・・自分も未だ信じられない位です。でもね、俵さん、順序を追ってその法則を見れば、成る程と言う部分もあるんです」




