白城(びゃくじょう)
秋山は、少し離れかけた村本と対称的に、今度は工藤とタッグを組み掛けていた。磯川は思うように使翔すれば良いと言った。それは、秋山の使翔法が、パパーマン系にマッチしているからだろうと思えた。
それから数日後、少し由香里に変化があった。
「お母ちゃん、うちメニュー通りやって見る」
しばらく苦痛の為に休んでいたリハビリメニューを、又再開すると言い出した由香里だった。環との会話以来、周囲にいらいらをぶつける事は無かったが、由香里の手術は、現代医学の最先端のもので脳波を感じて、足を動かすと言うこれまでに無い治療法を選択したのだった。香月が言う成功とは、この埋め込まれたマイクロチップが、そこでクローン培養された脊髄と繋がったと言うものだった。手術の不成功においても、義足をつけ由香里が通常の歩行や、軽いジョギングなら出来ると言う部分まで追求したものであり、S工大ならではの治療であった。その為由香里は、自分の足と同然にこの精巧な義足を動かす訓練を行なっている。しかし、その時に苦痛が発生する。環が精神的な一面のアドバイスを行なったのはこう言う事である。




