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白城(びゃくじょう)
そして・・
「沢木さんのお考え、私も全く同感です。村本さん、この鳩を沢木さんがもし使翔されていたなら、今年稚内GNレースを狙える逸材に育っていた事でしょう。素晴らしい鳩です。雌鳩でここまで完成された鳩は少ないです。佐野さん、貴方にも言えます。エース号は、1100キロGCH向きの鳩です。未だ飛べる・・両鳩は言っています。村本さん・・提案があります。この2羽を少し別の鳩舎か、バスケットに入れて見ませんか?」
「え・・?ああ・・、はい・・。丁度、種鳩専用の2羽入る鳩舎があります。上に来て貰えますか?」
村本は何かを感じた。沢木も表情に変化がないものの、拒否をするようには見えなかった。
工場の上に作られた鳩舎はなかなか立派で、管理も行き届き、レベルの高い鳩舎である事は容易に伺えた。
「ほう・・」
佐野が、鳩舎内の選手鳩群と、種鳩群を交互に眺めている。沢木も香月も全く鳩舎には一瞥もしなかった。全ては3羽で分かる・・そう2人は言っているようだった。
そして、2羽がその鳩舎に移されると、途端にエース号が求愛のポーズを。呼応する、天城号・・




