白城(びゃくじょう)
佐野は、
「自分には到底語れないお話です。ですが、沢木さん・・自分は深く感銘を受けました。又香月君の意図も何となく分かった気がします。なら、尚更自分はこのエース号に夢を託したいと思います」
香月も、
「私の意図をここまで読んで下さる方・・沢木さん以外にこの夢を託して頂く方は居ないと思います。深く感謝申しあげます。しかし・・沢木さん・・この5羽でも届きませんか?未だ・・」
沢木はぴんと背筋を張り、
「これからの成長次第でしょう・・きんど、閃竜号は、初めて自分の前を飛ぶ鳩にどなん変化するじゃろうねえ・・わしは、楽しみが出て来ましたわ」
香月がにこりとした。
「ここに、現代日本競翔界の未来を占うだろう陣容が整いつつありますね。輝竜号と言う図抜けた鳩も誕生している。成長が楽しみです。磯川さんも、小谷さんも主流の系統を託されました。佐野さんも、もしこれからお邪魔し、この申し出を理解して下さればきっと私も結果が出せるような気がします。それこそ、佐野系への集大成でしょう」
眼を輝かせ、香月がそう言うと沢木が立ち上がり、事務所から出て、車を回して来た。




