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白城(びゃくじょう)

「いやいや・・難儀なもんでね、一度見たもんや、触ったもんは頭に残るんですわ。確か4年前の鳩雑誌の5号167頁に掲載されていたと思うきんど・・」


 佐野が、


「香月君・・僕の想像の枠遥かに超えちゃってるよ・・沢木さんって・・。まるでコンピュータのような頭脳の方だ・・」


 沢木の顔が少し曇る。


「こなな凄い才能と人は言うが、実際には要らんのです。難儀な事ですきんね・・」


 敏感な香月が、沢木の気持ちを察して言葉を付け足す。


「その通り・・タンギ号とは母鳩が違いますが、3代目。カール号の5重近親に当たります。つまりこの鳩こそが、佐野ロビンソン系の集大成。中心に位置するんです。しかし、何故か子孫に恵まれません。同系列の鳩達が結果を残していても」

「銘鳩の子・・銘鳩ならず・・その言葉通りじゃ・・そやきんど、佐野君、この鳩何で2歳で種鳩にしたんですかいね?」

「今、僕が説明した通り、集大成の鳩となるべきと思いまして・・嘗て香月君のスプリント号がそうであったように」


 沢木は明確に否定した。

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