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白城(びゃくじょう)

 とりは一礼をすると、この日はそれで帰って行った。沢木はそれぞれの者に、色んな事を託し、伝えようとしているのであった。とりにも、それは感じていた。

 由香里の手術の大成功。しかし、だからと言って由香里が失ったこの7年間を、一気に埋める事は出来ない。環が頑張るなと言った。頑張ろうとすればする程自分への苛立ちが募り、周囲への爆発に向ってしまう。周囲もそうだ。頑張っている者を励ます気持ちでその言葉が出る。それは、心底そう思うからこその言葉であっても、今頑張っている人間には、それ以上のプレッシャーとなってしまう。環は自分が励ましながら、これまで行って来たリハビリに対して、壁にぶち当たっていた。それこそ、由香里に頑張るなと言った言葉に集約されていたのであった。患者は、皆頑張っているのだ。その言葉が持つ意味の何と重い事か・・と。

 忙しくクマゼミが朝を告げる。青い空には、白い雲が浮かんでいる。


「ふうっ・・・」


 珍しく沢木が朝寝していて、起きたのが9時頃だった。準夜勤の環も起きて来る。彼女としたら早い朝だった。


「あ・・親父、珍しいな、今起きたん?」

「おう・・なんやかんや、やっとったら、こなな時間になってしもた」

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