変化する日常
ヤマチューが驚きながら答えると、
「四国にあって稚内GNレース1400キロがどなん難しい距離か、兄やんは、今期から自分のシフトを羽幌1300キロレースに絞ると言うとるわ」
「え・・ほんまですか!」
「・・そのびっくりしたような顔じゃと、ヤマチュー君もマリンバ号系統で稚内を目指しとった口じゃの・・ええか?本家のマリンバ号主力でさえ、そう言うシフト変更をした影には、四国ちゅう独特の土地柄にあって、稚内がどれだけ厳しいかちゅう事じゃ。悪いきんど、マリンバ号系統でも兄やんの主力と比べたら、この2羽では1300キロ、1400キロを狙うには厳しい。ヤマチュー君。この鳩は3歳じゃ。来年は円熟の4歳。参加させるんなら竜飛崎の1000キロで、それで種鳩にしたらええ。基礎鳩に充分なれる2羽じゃ。川滝さんとこの秋の1羽と交配さすのもええじゃろ」
1000キロレースを戻って来れば、翌年、1100キロ、1200キロに挑戦させると言う言うのは競翔家にとっては定説であるが、沢木はそこで敢えて種鳩にしろと言うアドバイス。ヤマチューは沢木の言う事に頷いたのだった。特に沢木はこのヤマチューに関しては丁寧にアドバイスを送っていた。
ヤマチューが帰った後、沢木は一人大きく嘆息しながら呟いた。




