変化する日常
「はは。ヤマチュー君は性善説じゃの?いや、悪い事は無い。消去法で欠点を論い、減点して行く競翔家は多い。ほな、わしが指摘しとこ。この系統はスピード性は無い。粘り型の、長距離を飛翔するのに適した系統じゃ言うんは、間違い無い。そやきんど、この系統は連戦に弱い。体力的にもう一つやきん、むしろ、ある程度自由舎外にして、ある程度時間を決めて、半自由舎外にするんが適当かと思う。敢えて注文をつけるとするなら、この鳩の羽毛の質はちょっと硬い。そやきん、今後は悪天になりそうなレースは敬遠して、連戦ささん事じゃ。ええか、ヤマチュー君。鳩の体力ちゅうんは人間が考えるより、もっとあるかも知れんし、逆に無いかも知れん。どちらか言うたら、無いんじゃ言う事を念頭に置いとかにゃ、一週間置きに続くレースは耐えられん。持ち堪える事が出来ん鳩は体力を使い果たし、精神力を使い果たし、戻る気力も失しのうて、失踪に繋がるんじゃ。血統を知る言う事は、特徴的な事は勿論やきんど、個々の鳩の体力をも知る必要がある。・・この2羽ええ仕上がりじゃ。そやきんど、これは四国Nレースに照準を合わせたもんで、その後はどなんなるじゃろの、もし今春の1000キロレースまで考えとんじゃったら、わしは勧めん。兄やん(西条)の所はGNレース1400キロを戻しとる、確かに長距離系じゃ。そやきんど、その歩留まりは1パーセント位じゃ、稚内まで参加出来る鳩はのう・・知っとるか?」
「いや・・全然知らんかったです」




