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変化する日常

 700キロ四国Nレースに参加させる2羽の選手鳩を、沢木に見せる為にであった。

 きょろきょろ店内を見渡しながら、ここがケーキ屋さんだった事を知っているヤマチューにとっては、全く装いを変えた、近代的センスに満ちた事務所内に驚いていた。既にスタッフが帰った後で、沢木は子犬のカイを抱きかかえながら応対していた。2羽の鳩をヤマチューは連れて来ていた。


「どうかいね・・わしなりに万全の仕上げをして来たつもりやきんど・・」


 沢木を目標と定め、逸早く、沢木軍団と既に呼ばれている中堅、若手中心の20名にも上るメンバーの中でも筆頭格のヤマチューは、少し不安そうな顔で沢木を見つめた。

 沢木はしかし、明確には言わず


「ふむ・・ヤマチュー君、君位のレベルの競翔家になって来るとの、その正中線言うんが必要なんよ」


「・・正中線?・・あの・わしアホやきん難しい言葉は分からんきん・・」


 少し困った表情になるヤマチュー。


「ほな、言うで。このハンセン系は西条さんとこのマリンバ号系統じゃわの?」

「あ・はい。そうです」

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